Review:FAIR WARNING/RAINMAKER

Review

フェア・ウォーニング/レインメーカー

‘95年に発表されたFAIR WARNINGの2ndアルバム。

初のセルフプロデュースとして作成された本作。メロディに重きを置いた作風は変わらずだが楽曲に空間を作ることでよりライブ感を強め生々しいサウンドを目指した。1stアルバムである「FAIR WARNING」と比べて全体的に開放感があり、スケールアップした印象。

しっとりとした湿度を感じるなかに、カラリとしたさわやかな楽曲を織り交ぜた構成のまるで梅雨から初夏へと季節の変化を感じさせるアルバム。

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収録曲

  1. Stars And The Moon/スターズ・アンド・ザ・ムーン
  2. One Way Up/ワン・ウェイ・アップ
  3. Too Late For Love/トゥー・レイト・フォー・ラヴ
  4. The Heart Of Summer/ハート・オブ・サマー
  5. Don’t Give Up/ドント・ギブ・アップ
  6. Lonely Rooms/ロンリー・ルームズ
  7. Desert Song/デザート・ソング
  8. Pictures Of Love/ピクチャーズ・オブ・ラヴ
  9. Desolation Angels/デソレーション・エンジェル
  10. Angel Of Dawn/エンジェル・オブ・ドーン
  11. Burning Heart/バーニング・ハート
  12. What Did You Find/ホワット・ディド・ユー・ファインド
  13. Get A Little Closer/ゲット・ア・リトル・クローサー
  14. Rain Song/レイン・ソング
  15. The Call Of The Wild/コール・オブ・ザ・ワイルド(2006年再販時ボーナストラック)
  16. Children’s Eyes(Live)/チルドレンズ・アイズ(2006年再販時ボーナストラック)
  17. Over You/オーヴァー・ユー(2006年再販時ボーナストラック)

解説

Stars And The Moon

浮遊感のある独特なイントロから始まる本アルバムの1曲目。

どこか呪術的な印象を受け、聴くたびに中毒性のあるメロディの虜になってしまう、不思議な魅力をもった楽曲。分厚いコーラスは以降このバンドの新たな要素となり、重要な個性となってくる。

スカイギターを使用したギターソロも健在である。


One Way Up

ノリの良いFAIR WARNING流ロックンロールを聴かせる2曲目。

アメリカンロックを思わせる快活な曲と見せかけて、Bメロでマイナー進行に変化させることで明るくなりすぎないバランス感覚が絶妙。


Too Late For Love

3曲目。ブルージーかつウエットな音像を持った楽曲。

全編にわたって泣きのメロディが充満しているが特にギターソロは秀逸。ハモりながらの導入から起承転結のあるお手本のようなプレイでしっかりと泣かせてくれる。さらに転調することでさらに涙腺を強く刺激。スカイギターによるアウトロのソロも必聴である。


The Heart Of Summer

一転してさわやかな4曲目。

タイトル通りの「夏」をテーマにした楽曲。照り付ける太陽や抜けるような青空、海を思わせる音像で季節を表現しており目を閉じて聴いているだけで「夏」の雰囲気を感じられるだろう。

中音域を生かしたボーカルも心地よい。


Don’t Give Up

5曲目は力強いメッセージを持ったまさに応援歌。

”人生に落ち込まされたのなら、人生に励まされることもあるだろう。

君の夢は誰からも奪うことなんてできはしない。”


Lonely Rooms

ジミ・ヘンドリックス風のフレーズから始まる6曲目。

哀愁のメロディに満ちた哀切な一曲。それでもどこか希望を感じさせるセンチメンタルな楽曲。

ギターソロは飛翔感のある憂いに満ちた極上のメロディ。


Desert Song

重厚かつ壮大な7曲目。

7分近くの大曲ながら飽きさせない曲展開で強力なメロディが聴き手にインパクトを与えながらもぐいぐい引き込んでいく。


Pictures Of Love

8曲目。このアルバムに収録されているなかで一番のお気に入りの1曲。

こちらも「夏」を感じさせる爽快さと哀愁を併せ持ったメロディアスな楽曲で、柔らかな旋律にせつない詞をエモーショナルに歌い上げる。アコースティックギターも隠し味に良いスパイス。

スカイギターを使用したソロも透明感のあるメロディを歌わせており、特にアウトロ付近のギターのハモりはもっと聞いていたかったところ。


Desolation Angels

スライドギターから始まる9曲目。ややダークな気だるい印象のメロディ。

ホーンセクションのようなシンセサイザーも大きなリズムの中でアクセントになっている


Angel Of Dawn

10曲目。タイトルに「Angel」が続くが、こちらはゆったりとしたバラード調の楽曲。

メロディにどこか東洋的な響きがありスピリチュアルな癒しを感じる。特にツインギターからなるソロのハーモニーは必聴で旋律の美しさと泣きが共存し高揚感とカタルシスを得られる。


Burning Heart

バンドの代表曲ともいえる11曲目。

哀愁を交えながらも毅然としたメロディは聴くものに勇気と自信を与えてくれる、そんなパワフルなメロディアスハード。

メロディとテクニカルさを巧みに織り交ぜたギターソロは楽曲のハイライトになっている。


What Did You Find

12曲目。前曲からの興奮を落ち着かせるかのような、美しいギターのイントロ。

重厚なメロディは詩の内容も相まってシリアスな印象を受ける。


Get A Little Closer

一転してノリの良いロックンロールを聴かせる13曲目。

Aメロはのメロディは明るく、Bメロはほんのりと哀愁を感じさせるメロディを織り交ぜる飽きさせない構造になっており、ソングライティングのセンスが光るところ。


Rain Song

アルバムを締めくくるアコースティックな14曲目。

文学的な詩は雨の降る風景を切り抜いたかのようであり、情緒的でやさしく繊細。

心に語りかけるようなボーカルも素晴らしい。まるで「慈雨」のような一曲。


The Call Of The Wild

2006年再販時に収録されたボーナストラック。

「Burning Heart」のシングルに収録されたアルバム未収録曲。

ハードなドラムからギターのカッティングを活かしたややファンキーな楽曲でFAIR WARNINGのなかでも珍しい曲調。


Children’s Eyes(Live)

2006年再販時に収録されたボーナストラック。

こちらも「Burning Heart」のシングルに収録されたアルバム未収録曲で東京で行われたライブを収録したもの。

もの悲しい雰囲気のイントロに抒情的な詩を切々と歌うボーカルに胸を打たれる。バンドが入ると一転してヘヴィな印象となるが柔らかなメロディは心地よく聴くものを包み込む。

現在も正式なスタジオ収録されたものがないめずらしい楽曲。

このライブバージョンの完成度が高過ぎるため、バンドの実力がうかがえる一曲ともいえる。


Over You

2006年再販時に収録されたボーナストラック。

デモレコーディングされていた楽曲のひとつでアルバムには収録されなかった未発表曲。

個人的に大好きなメロディラインで同アルバム収録の「Pictures Of Love」との姉妹曲のような印象。Aメロはややヘヴィだが徐々にメロディが強調され、透明感のあるサビに流れは白眉。

アルバムに収録されなかったのが不思議な完成度の高い楽曲。


まとめ

以上17曲を簡単に解説してみました。

デビューアルバムで日本のメロディアスハードファンの心をつかみ、期待された2ndアルバム。裏切ることなくむしろより洗練された不変のメロディを核とし、1stにはなかった新たな要素も取り入れるなどあらゆる魅力にあふれたアルバム。この機会にぜひ一聴してはいかがでしょう。

新たな音楽との出会いがあることを願って。Shino

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